城下病院長 新年のご挨拶

新年、明けましておめでとうございます。
皆さまにおかれましては、穏やかに新しい年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。
私は、国民健康保険依田窪病院の病院長、ならびに依田窪老人保健施設いこいの施設長として、地域医療と介護の現場に携わっております。
旧年中は、地域の皆さま、関係機関の皆さまから多大なるご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
長野県は、平均寿命・健康寿命ともに全国トップクラスを誇る健康長寿県であり、この地域にも元気で活動的な高齢者の皆さまが多く暮らしておられます。一方で、未曽有の人口減少と高齢化が同時に進行する中、医療・介護が果たすべき役割は、これまで以上に大きく、そして複雑になっています。
高齢者救急の増加、慢性疾患の重症化、転倒や骨折による生活機能低下など、私たちが直面する課題は「治す医療」だけでは完結しません。その後の生活、リハビリ、介護、在宅支援までを含めて支える体制こそが、これからの地域医療の要であると考えています。
依田窪病院と老健いこいは、早い段階から、上田地域における医療提供体制の将来像、いわゆる「上田スタイル」に取り組んできました。
高度急性期医療を担う広域型病院(信州上田医療センター)と、回復期医療・リハビリ・在宅復帰を担う地域型病院(依田窪病院)が明確な役割分担のもとで連携するこの仕組みは、現在では上田地域全体へと広がり、複数の輪番病院が同じ方向性で医療を支える体制へと発展しています。
私たちは、その先行事例としての責任と誇りを胸に、次の段階へと歩みを進めてまいります。
2026年度は、これまでに積み重ねてきた取り組みを土台に、三つの柱を軸として、地域医療・介護のさらなる進化に挑戦します。
第一に、医療・介護・在宅が切れ目なく連携する体制の深化
病気になった時から、回復し、再び地域で暮らし続けるまで、人生の各段階に応じて安心して支援を受けられる体制を、長和町や上田市などの行政と一体となって構築していきます。
特に、介護と在宅ケアの連携は、この地域において最優先で取り組むべき課題であり、老健いこいの役割も一層重要になると考えています。
また、医療と介護をつなぐ取り組みの一環として、当院の整形外科診療においては、脊椎疾患を中心に低侵襲手術、さらには局所麻酔による超低侵襲手術を積極的に導入しています。これにより、これまで全身麻酔が困難であった超高齢者の方々に対しても、安全に治療を行うことが可能となり、早期離床・早期リハビリを通じて、介護負担の軽減や在宅復帰の促進につながっています。
さらに、慢性的な腰痛の予防や再発防止を目的として、ピラティスを取り入れた運動プログラムにも取り組んでいます。手術だけに頼らず、「動ける身体」を維持・回復することは、医療と介護の両面から生活を支える上で極めて重要であり、地域完結型の医療・介護体制を支える大切な柱であると考えています。
第二に、新しい医療の形への挑戦
オンライン診療などを含め、通院負担の軽減や利便性の向上を図り、地域の実情に合った医療提供のあり方を模索してまいります。その実現にあたっては、長和町や上田市などの自治体と密に連携し、地域の課題や生活環境を踏まえた取り組みとして進めていきます。住民の皆さまの声を大切にしながら、小さな実証を重ね、持続可能な仕組みとして育てていきたいと考えています。
第三に、健診事業の質のさらなる向上
健診の機能評価を通じて、当院の健診が全国水準の質を備えていることを客観的に示すとともに、予防医療をより身近なものとし、住民の皆さまの健康寿命の延伸に貢献してまいります。
依田窪病院と老健いこいは、医療・介護・行政が一体となった地域づくりの中核として、これからも「住み慣れた地域で、安心して暮らし続けられる社会」の実現に全力を尽くします。
これらの取り組みを通じて、依田窪病院と老健いこいは、医療・介護・行政が連携した地域づくりの中核として、住民の皆さまの健康と生活を支える存在であり続けます。
2026年が皆さまにとって素晴らしい1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
