病院長挨拶
国保依田窪病院長 三澤 弘道
今年の3月で私が依田窪病院に赴任して38年が経過し、病院長としても22年が過ぎます。20代の後半の整形外科医1人から始まった当院の整形外科も、最先端の医療を提供しようと努力を続け、共に働いてくれる先生方が集まり、現在は指導医4人を含んだ6人と発展させることができました。当院で行った脊椎外科(背骨)の手術は、1月上旬に1万件を超える見込みです。当院を利用していただいた患者さん、また、外来、手術室、病棟、リハビリなど多くの職員の協力が無ければ、この業績の達成はできなかったものと感謝しています。
一時は医師不足で、夜間や休日の入院停止になったこともありましたが、現在は内科や総合診療科の先生も増え、外科系医師とも連携し、様々な疾患を抱えながらも手術を受ける患者さんに対して、彼らが副担当医となって連携して医療ができる様になりました。また、骨折等でも手術を要しないご高齢の入院患者さんは、多くの基礎疾患を合併しているため、内科系医師が主担当医となって治療を行っています。各診療科のコラボレーションが加速して、病院全体が一丸となってきていることを実感しています。
上小地域の人口は減少しておりますが、当分の間は高齢者人口はあまり変わらないこともあり、救急車の台数は毎年10%程度増えています。上田小県2次医療圏は、県内で人口に対する医師・看護師の数は最も少ない地域の一つではありますが、住民の皆様が安心・安全に暮らせるように、圏内の各病院との連携を強化して地域の医療を守っていかなければなりません。
22年間務めた院長職ですが、今年の3月で退任し、4月からは城下智副病院長が新たに病院長となります。地元出身であり、信州大学医学部附属病院第二内科の准教授もされていた先生で、内科の知識も大変豊富であります。人柄も非常に良く、この地域の病院や診療所の先生とも連携を深めていただいているということで、私は安心してバトンタッチができます。
越知富夫先生から引き継いだ病院長として、この病院をとにかく素晴らしい病院にするために、医療レベルの向上、臨床研究や医学論文など学術的なレベル向上、病院の組織改革、院内ICT化の推進などを積極的に行ってきました。苦しい時代もありましたが、新型コロナでは上小地域で一番多くの患者さんに対応できたことや、院内感染対策チームがフルメンバーで連携し、当院の感染対策のレベルを一段と向上させ、更に他の医療機関や福祉施設の応援に行ったことも評価できる事例でした。安定した病院経営、看護師や薬剤師確保など、地方の中小公立病院が抱える課題は、今後も継続的に取り組んでいかなければなりません。次期院長の城下先生に私の思いを託し、依田窪病院および上小地域の医療が更に発展していただけるということを祈念しています。
最後になりますが、長年にわたる地域住民の皆様のご支援や当院職員全員の協力で、依田窪病院を維持・発展することができたことに、心より感謝申し上げます。そして今年こそ、世界各地で起こっている紛争や戦争が終結して、全ての人類が幸福で安心して生活できるようになることを祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。今年もよろしくお願いいたします。